紛争の内容
依頼者は、フリーで美容師の仕事を行っていました。

新型コロナウイルス感染症のあおりを受け、顧客が大幅に減り、仕事が減少したことで生活費を借り入れてしのいでいました。しかし、新型コロナウイルス感染症流行の収束は見えず、将来の見通しが立たないため、破産を選択することになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
個人事業主の場合には、原則、管財事件となり、破産管財人が就くことになります。
しかし、本件依頼者は、実態からすると名ばかりの雇用契約ではないかと考えられました。
そこで、依頼者の業務内容からすると、業務委託契約ではなく雇用契約ではないかという労働者性を強く伝えるべく、疎明資料を付けて詳細な上申書を提出しました。

本事例の結末
詳細な上申書を作成することで、個人事業主にもかかわらず、同時廃止事件となりました。

本事例に学ぶこと
個人事業主だからといって機械的に管財事件とあきらめるのではなく、詳細に検討した上で、丁寧に裁判所への上申書を付けることで、同時廃止事件とすることができました。上申書の内容については、もはや労働者性を争う労働審判や労働訴訟かのような主張をしていきました。そのような苦労をすることで、例外的な個人事業主の同時廃止事件とすることができた事例です。

弁護士 平栗 丈嗣