紛争の内容

メンタル疾患により、長期病気療養中の方の相談を受け、法テラスを利用して、破産申立の依頼を受けました。
夫婦関係を解消して間もなくであり、転居してから、法テラスの申請をするという段取りで、依頼を受けることになりました。
病気療養中ですので、転居先市町村での生活保護の受給も前提となっており、その決定が出た腕、法テラスの法律扶助の申請をします。

交渉・調停・訴訟などの経過

転居先で、生活保護の受給のめども立ち、それにより住まいも確保し、債務整理をすることになりました。
依頼者は、体調が回復したら、少しでも仕事につきたいとし、就業意欲には飛んでいましたが、やはり、体調が安定せず、通院生活をしていました。

法テラスの審査が通り、依頼者と正式依頼を交わし、各債権者に受任通知を発します。
本依頼者には、奨学金債務の関係で、連帯保証人の親族と、単純保証人の親戚の方がありました。
同親族の方などに対する受任通知を発する際には、事前に、依頼者から弁護士からの書類の話をしてもらいましたところ、その前に、本手続の説明などを受けたいとの申し出がありました。
そこで、ご説明の機会を設け、本手続を完遂することによって、本債務者が負った多額の負債の責任を承継する危険はなくなることを説明し、また、保証契約等の契約当事者でない限り、債権者からの連絡もないことを説明しました。

申立の準備のために、依頼者にも協力してもらう必要があります。
受給される保護費のやりくりができていることを毎月の家計簿の作成で示しました。
依頼者も誠実に作成し、協力してくれました。

ところで、現在において、スマートフォンなどの携帯電話は、文化的な生活をするに不可欠です。情報ライフラインともいえます。
よって、スマートフォンや携帯電話契約を有することは特に問題にはなりません。
ただ、通話料ともに、携帯電話会社による物販の代金や利用料などの立替をしてもらうことは慎んでもらっています。これは、新たな債権者となり、破産債権として対応しなければなるからです。
依頼者もその点は協力的でした。

依頼者は、Lineアカウントを複数保有したいと希望を述べました。そのためには、もう一台の通話契約を結び、スマートフォンを入手する必要があります。
複数のLineアカウントを保有したいのは、もともとのLineアカウントが関係の良好でない方も保有しており、それが心配の種であり、メンタル疾患にも影響しているという説明でした。
また、ほとんど通話料のかからないプランの利用であり、堅実な家計の実現に支障はないとの説明であり、そのプランのパンフレットも示してもらいました。
代理人としては、医師が疾患の治療などに資するから、その必要がなくはないとの評価が出るのであれば、裁判所に補足説明すると申し向けました。
なお、申立て準備が整いましたので、管轄裁判所に破産申立をしました。

スマートフォンの複数台保有による、不安の解消について、主治医の意見を伺いたいと述べ、連絡を取らせてもらいました。
個人の方が自己破産するのは、裁判所から免責の許可を受けるためであり、そのためには堅実な生活ぶりが不可欠であり、1台のスマートフォンを保有している以上、2台を保有することを問題なしとすることはできないことから、精神疾患の治療面からの意見を窺ったものでした。
主治医の方は、当方の、つまり、患者の事情も理解されました。

本事例の結末

依頼者は、そのご体調が悪化し通院もできなくなったとのことでした。
家計の状況は引き続きつけてもらい、堅実な家計が維持されていることが認められました。
依頼者が、複数のスマートフォンを保有する契約を締結する前に、免責許可の決定が出ました。
その報告を依頼者に差し上げました。
破産免責は、事実上、次はないこと、引き続き堅実な家計に努め、スマートフォンの複数持ちでも、瓦な家計を維持されるようお願いしました。

本事例に学ぶこと

多重債務による債権者の取り立て連絡に悩み、病気の治療に専念できない方もいます。
そのためには、一刻も早く、弁護士の相談を受け、弁護士に債務整理を依頼すべきとなります。
債務整理方針として、破産を選択した場合には、裁判所から免責の許可を受けるのが最終目標となります。
弁護士のアドバイスに従って、是非とも免責許可を獲得しましょう。

弁護士 榎本 誉