事案の概要

破産者は不動産業者に勧められ、ローンを組んで3部屋の投資用物件を購入したが、すぐにローンの支払いが収益を上回る状態となったため、その穴埋めをするためにキャッシングやクレジットカードの現金化を行うようになり、その後、投資用物件を売却をしたものの自身の返済能力を超える負債が残ったという事案について破産管財人に選任されました。

主な管財業務の内容

投資用物件は破産手続申立前に売却済みであったため破産者にめぼしい財産はなく、免責調査が主たる管財業務となりました。
すぐに支払計画が破綻するような投資を勧めた不動産業者の責任は軽くないと考えますが、将来的なシミュレーションを行うことなく安易に投資に手を出した破産者の行為は浪費的といわざるを得ず、ローン返済の穴埋めのため行っていたクレジットカードの現金化は購入した商品の不当な廉価売買と評価できるため、いずれの行為についても免責不許可事由に該当すると判断しました。

本事例の結末

破産に至る経過については免責不許可事由が存在するとしましたが、破産者はその後、投資等から離れ収入の範囲内の生活をしていたこと、今回が初回の破産手続申立てであること等を考慮し、今回に限り裁量免責相当との意見を裁判所に提出しました。
それを受けて、裁判所からは免責許可決定が出されました。

本事例に学ぶこと

今回は不動産投資のマイナス面が破産手続申立てに至ったケースで下。
不動産投資で巨額の利益を生み出している一握りの人がいる影で不動産投資に失敗し多額の負債を抱えている人が多く存在します。
不動産投資が一概に悪いということではないですが、投資を始める際にはそのリスクをきちんと理解した上、リスクに直面した際に自身で対応できるかというところまで考えるべきでしょう。
破産手続において投資の失敗は浪費的と評価されることが多いと思いますので、ご注意ください。

弁護士 吉田 竜二