紛争の内容

負債の原因がパチンコであり、家賃や税金の滞納がある方について、破産管財人として、この方の借金を免除(免責と言います)して良いかについて調査を行いました。具体的には毎月の家計簿と預金通帳の写しを提出してもらい、パチンコを行わず、税金や家賃の滞納を解消し、家計が赤字にならないような生活を行うことが出来ているのかを確認しました。

交渉・調停・訴訟などの経過

家計簿において貯金が十数万円あると報告されていましたが、預金通帳の写しをみると、預金にはそのような金額が保管されていませんでした。また、財布を紛失したために、銀行のキャッシュカードが当事務所に転送されてきました(破産者の郵便物は破産管財人の事務所へ転送されてきます)。このような出来事があったことから、貯金が出来ていないのではないかと考えましたので、破産者の代理人弁護士に貯金は無いのではないかと質問をしたところ、貯金はできておらず、タバコ代や食費を支払うと貯金をすることはできなかったという正直な回答が届きました。このような回答を見る限りでは、破産管財人として、免責を不許可とする意見を出すことも考えられたのですが、その後に提出された家計簿には虚偽の報告は無く、家賃と税金の滞納を解消するために、仕事を頑張っている様子が見受けられましたので、免責を許可するという意見を提出しました。

本事例の結末

裁判所が免責を許可する決定を出しました。

本事例に学ぶこと

家計簿だけでなく預金通帳の写しを提出してもらい、家計簿に置いて虚偽の報告がなされていることは無いかを確認する方法を学びました。また、虚偽の報告があった場合に免責を許可するか否かについてどのような意見を出すべきかを検討する方法を学びました。

弁護士 村本拓哉