紛争の内容

抱えてしまった負債総額は1000万円以上。毎月の返済に追われ、精神的にも限界を迎えておられたご相談者様からのご依頼でした。

自己破産の手続きをとれば借金はゼロになりますが、ご相談者様には「どうしても手放したくないもの」がありました。

それは、配偶者様と共有名義となっている大切な「ご自宅(不動産)」と、長年勤め上げて積み立ててきた「会社の退職金」や「共済事業の脱退返戻金」です。

一般的に自己破産をすると、一定以上の価値がある財産は手放して債権者への配当に回さなければなりません。

ご相談者様は「自己破産をすれば家を追い出され、将来のための退職金や共済金もすべて没収されてしまうのではないか」という絶望的な不安を抱え、当事務所へご相談にいらっしゃいました。

私たちは、ご相談者様の人生の再出発を後押しするため、合法的な範囲で最大限に財産を守り抜く決意でこの難局に挑みました。

交渉・調停・訴訟等の経過

ご依頼をお受けした後、私たちは裁判所に破産申立てを行い、裁判所から選任された破産管財人との緻密な折衝を開始しました。

まず、最大の懸念であった「ご自宅」についてです。本件の不動産は市場での評価額が比較的低いものでした。そこで私たちは管財人に対し、「不動産業者に安く買い叩かれるよりも、現在住んでいる配偶者様がご自身の固有資産から適正価格で買い取るほうが、破産財団(債権者に配当するための財産)に確実かつ多くの現金を組み入れることができる」と合理的な提案を行いました。

この交渉が見事に功を奏し、配偶者様から現金を支払うことで、管財人に不動産の換価を放棄してもらうスキームを成立させました。

次に、多額に上っていた会社の退職金と共済の脱退返戻金についての対応です。

そのままでは全額が没収対象になりかねない多額なものでしたが、私たちは法的な見地から「この共済の脱退返戻金は、実質的に退職金と同等のものである」という理論を周到に組み立てて主張しました。

結果としてこれが認められ、破産財団に組み入れるべき評価額を本来の「8分の1」にまで大幅に減額させることに成功したのです。

本事例の結末

評価額を8分の1に減額できたとはいえ、元々の金額が大きかったため、破産財団へ納付しなければならない金額は依然として高額でした。

ここで私たちは、さらに踏み込んだトリッキーかつ合法的な手法をご提案しました。それは、裁判所と管財人の正式な許可を得た上で、共済金の返戻金の範囲内で利用できる「共済事業資金借り入れ(貸付制度)」を利用するというものです。

この制度を利用して共済から一時的に資金を借り入れ、そのお金を破産財団に組み入れる費用として捻出しました。この非常に画期的なアプローチにより、ご相談者様の大切な共済金そのものを解約して失うことなく維持することができました。

さらに、破産財団には十分な資金が組み入れられたため、債権者に対して簡易配当を実施することができ、債権者からも一切の異論は出ませんでした。

最終的に、1000万円を超える莫大な負債の免責(借金をゼロにすること)が無事に許可され、ご自宅も将来の資金も守り抜くという最高の結末を迎えました。

本事例に学ぶこと

自己破産と聞くと「身ぐるみ剥がされてしまう」という恐ろしいイメージを抱く方が少なくありません。しかし、本事例のようにお客様の状況を緻密に分析し、法律の専門家としての高度な知識と柔軟な発想(スキーム)を駆使すれば、ご家族の住まいや将来の生活資金を合法的に守りながら、借金問題だけを解決することは十分に可能です。

特に、管財人との交渉や、退職金・共済金の評価の減額、さらには貸付制度を活用した資金捻出といった方法は、経験豊富でノウハウを持つ弁護士でなければ思いつかない、あるいは裁判所に認めさせるのが難しいテクニックです。

多額の借金に苦しみながらも「守りたい生活や財産」がある方は、決して諦めず、自己破産の豊富な実績を持つ弁護士法人グリーンリーフ法律事務所へご相談ください。あなたの未来と大切なものを守るため、私たちが最善の法的戦略を尽くしてサポートいたします。

弁護士 時田 剛志