紛争の内容
契約社員であったAさんは、夫Bとの間に長女、二女の二人の子をもうけました。
しかし、その夫Bの会社が破たんし、生活費はAさんが全て出すようになり、夫Bとは離婚することになりました。

夫Bは娘二人の生活費も出してくれず、慰謝料も支払わなかったため、Aさんは本業のほかパートもするようになって、何とか子らを養育していましたが、勤務先の業績が落ち、かつAさん自身がコロナに感染してその後遺症に苦しむ状態が続き、生活費を借金して出すようになってしまいました。

娘たちも成人し、アルバイト代の一部をAさんに支援してくれるようになりましたが、借金は増え続け結果として300万円もの借金となってしまい、利息も付いて、Aさんにはとても返せない額となってしまいました。

交渉・調停・訴訟等の経過
Aさんには免責不許可事由はありませんでしたので、管財人等も就くことなく、本件は同時廃止となりました。

本事例の結末
Aさんの債権者からも免責についての意見が出ることはなかったため、裁判所は破産申立からわずか3か月とかからぬ期間で、免責許可決定を出しました。

本事例に学ぶこと
Aさんのように、借金の経緯によっては、同時廃止手続となって、裁判所からの書面調査のみをもって免責が認められることもありますが、それには申立の際に裁判所や債権者から疑義が出ないような申立書を提出することが重要です。

生活費のために借り入れをし、それが雪だるま式になる前に、弁護士に相談するのが重要と感じます。

弁護士 相川 一ゑ