紛争の内容
依頼者は大手企業に勤務し、相応の収入があったものの、両親の入院・手術費用や子らの学費のために高額な資金が必要となり、金融機関や知人から借入れを重ねた結果、総額で4,000万円以上の負債を抱えることになってしまった。
高収入であっても返済が追いつかない状態になり、当事務所にご依頼いただき、破産申立てを行うこととなった。
交渉・調停・訴訟等の経過
依頼者は大手企業に35年以上勤続しており、高額な退職金があることが問題となった。
その退職金は、一部が、一時金として一括で受け取るか、企業年金として分割で受け取るかを自由に選択できるタイプのものであった。
当方は選択し得る最も低い金額とするよう求めたものの、裁判官の判断で、全てを一時金として一括で受け取った場合の金額が財産として捕捉されることとなり、8分の1相当としても高額の約600万円を財団組入れすることとなった。
依頼者は、生活を切り詰めるなど努力し、1年以上をかけて上記600万円を分納し、破産管財人はその財団をもとに債権者に対する配当を行った。
本事例の結末
無事、破産免責を得ることができた。
本事例に学ぶこと
退職金や企業年金の仕組みが整っている会社に長期間勤務している場合は、それらが高額になっていることが予想される。
企業年金の中には、差押え禁止財産の扱いで、破産手続においても財産として計上しなくてよいこともあるが、本件のように加入者が受け取り方を自由に選択できるタイプが混じっている例もある。その場合は、退職時に一括で全額受領することを選択できる以上、全体を退職金として考えざるを得ないという裁判官の判断には確かに納得できるものがあり、注意が必要である。
弁護士 田中 智美





