紛争の内容
破産者は法人の代表者であり、法人の債務について連帯保証人となっていたために破産せざるを得なくなりました。法人は個人事業主が少し大きくなった程度の小さな法人でした。決算書も帳簿もないという情報不足の中で、本当に財産がないのか、破産に至る経緯は本当なのか、調査をするべく破産管財人に選任されました。
交渉・調停・訴訟等の経過
資料が限られる中、最重要な情報源は会社の社長からのヒアリングでした。申立書に記載されている内容と齟齬がある点を詳細に聞き取り、破産に至ったキーマンの連絡先をどうにか取付けることができました。そして、行方不明であったはずのキーマンとの接触に成功し、その主張を聞き取るだけでなく根拠資料の提出を受け、実態把握をすることができました。
さらに、社長個人の財産たる自動車等の動きに疑問があったため、財産隠しがないか公的な資料を揃えてもらい、全て確認していくことにしました。
本事例の結末
詳細なヒアリングや追加調査により、法人の破産の不自然な点を矛盾なく説明することができるよう調査をすることができました。また、社長個人の資産についても財産隠しの形跡もありませんでした。その結果、社長個人について特に問題がなかったため、免責を認める意見を書き、裁判所から免責の許可を受けることとなりました。
本事例に学ぶこと
法人といっても大企業からいい加減な個人レベルまであり、法人の規模や実態によって破産管財業務も変化します。
本件は資料が不足しながらも、法人代表者からの複数回何時間にもわたる聞き取り、関係者からの聞き取りという人的な証拠に基づき、納得行くだけの調査結果を得ることができた上で裁判所に免責を認めるべきとの意見をすることができました。
弁護士 平栗 丈嗣






