紛争の内容
依存症のため、浪費を続けていたAさんは、その症状により衝動的に物を買う、ギャンブルをする、投資をして損を取り返そうとしてしまうということに悩んでいましたが、カードでの物販・キャッシングなどを繰り返し、生活と浪費を続けていました。

リボ払いなどをしていたため、月額の支出は一見やりくりできているように見えましたが、その裏で債務額は膨れ上がり、会社員としての収入では到底返済しきれない額となったため、破産をすることになりました。

財産はありませんでしたが、浪費や射幸行為が免責不許可事由としてあったため、管財事件となりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
Aさんの生活状況としては、これまで通りの暮らしを継続すれば再び借金が増えて行ってしまうことは目に見えていたため、家計簿をきちんとつけていくことや、自身の依存症に向き合うということが重要と感じられたたため、管財人として経済的更生のために依存症のカウンセリングを受けることを勧め、Aさんは手続中、浪費を抑え、医療的ケアを受けることになりました。

本事例の結末
Aさんに免責不許可事由があることは明らかでしたが、財産はなく、家計簿上は黒字が継続できていたこと、医療的なケアにより多重債務の原因となった根本原因たる依存症に向き合えていると考えられたことから、管財人として裁量免責相当という意見を出し、裁判所にもその意見が認められました。

本事例に学ぶこと
多重債務に至った経緯は人それぞれで、中には自分だけではどうにも経済的更生が難しい場合もあるかと思います。

たとえばそれが医療的なケアにより改善できるようであれば、単に法的な債務整理という方法だけではなく、並行してこのようなケアを受けることで、裁判所に免責不許可事由があっても裁量的免責が認められるケースもあると感じました。

弁護士 相川 一ゑ