紛争の内容
当事務所が破産管財人として配点を受けました。
破産者の方には7社に約600万円の債務がありました。
借入の使途には生活費もありましたが、大きなものとして、仮想通貨に関する取引がありました。
この投資は、投資額が約1000万円、損失額が約900万円であり、これが免責不許可事由にあたるか、あたるとして裁量免責を認めるべきか等が問題となりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
破産管財人に選任された後、すぐに破産者と面談を行いました。
そこで、今回の自己破産に至る経緯や生活状況、仮想通貨取引に関する事情を詳細に聴き取りました。
特に、仮想通貨に関しては、行った取引の内容や金額がわかる資料を追加で提出してもらい、免責不許可事由該当性や裁量免責の有無について検討しました。
本事例の結末
検討の結果、取引回数が多いこと、費やした金額が高額であること、仮想通貨取引が債務の増大に直接的につながっていること等から、仮想通貨取引は免責不許可事由である射幸行為による過大な債務の負担にあたると判断しました。
もっとも、破産者の家計は黒字であり家計改善の姿勢がみられること、破産者が仮想通貨取引の重大性を認識しもう二度としないと約束していること、破産者が破産管財人の調査に真摯に協力していること等から、裁量免責を認めることが相当であるとの意見を出しました。
その結果、裁判所も破産管財人の意見を採用し、免責許可決定が出されました。
本事例に学ぶこと
自己破産をするケースでは、ギャンブルや投資などで非常に高額の債務を負っているというケースが珍しくありません。
これらの事情は、免責不許可事由である浪費、賭博や射幸行為による過大な債務の負担にあたり得ますが、そのような場合でも、破産者が家計を改善したり、真摯に反省したり、破産管財人の調査に真摯に協力したりすれば、裁量免責を得ることができることがあります。
弁護士 権田 健一郎






