紛争の内容
約430万円の負債がある方から、破産の申立てについて相談を受けました。十分な収入がないにもかかわらず、ローンを組んで外国車を購入したが、返済が不能になる等、浪費による免責不許可事由が存在しました。他方で、他の負債も含めた負債の総額が約430万円程度であり、現在は十分な収入を得て、負債を形成せずに生活ができる見込みがある等、免責が許可される可能性がありましたので、破産の申立てについて依頼を受けました。
交渉・調停・訴訟等の経過
破産管財人の弁護士が裁判所によって選任され、依頼者の方と私で破産管財人の事務所を訪問し、面接を受けました。自動車を購入した際の事情について質問を受け、友人の経営する会社に就職して、友人から給与を増額する旨の説明を受けたために、自動車の購入を決めたものの、給与の増額がなされなかった等の事情を説明しました。
本事例の結末
破産管財人からは、浪費による免責不許可事由が認められるものの、継続してこのような浪費をしたのではなく、自動車ローンの残債務額が債務の総額に占める割合が20%以下であることや、現在は安定した収入を得て収入の範囲内で支出をしていることを評価されて、免責を認めることが相当である旨の意見を頂きました。そして、裁判所も免責を許可しました。
本事例に学ぶこと
浪費による負債の形成が認められる場合であっても、負債総額、負債総額に占める浪費による負債の割合、現在の収入状況等を考慮して、免責が認められる場合があります。破産を希望する方からの相談を受ける際には、このようなことを意識して、破産の申立てが可能であるかを検討する必要があります。
弁護士 村本 拓哉