紛争の内容
裁判所から、破産者を免責にして良いかを、破産管財人として調査するよう依頼されました。

事件記録を読んで、亡き夫が営んでいた事業のために、友人である個人から2770万円を借りた後、返済をすることができなかったという事例であることを確認し、まずは破産者の方との面談を行いました。

交渉・調停・訴訟等の経過
破産者との面談で、約18年間の間で20万円ほどしか返済をしなかったということを確認しました。友人の方からは督促を受けることが無く、交友関係が続き、友人の方が亡くなってから、相続人の方が債権を引き継いで、督促が来るようになったとのことでした。

以上のような事情の鑑みますと、事業目的での借り入れということではありましたが、全く返済の見込みがない過大な借り入れを行ったことが確認できましたので、破産者の方には破産法第252条1項4号の浪費によって過大な債務を形成したという免責不許可事由があると判断しました。

他方、破産者の方に家計簿を提出して頂きましたところ、貯蓄を残しながら生活する様子が確認でき、再び負債を作る可能性は一定程度減少しておりました。

また、債権者の方から、破産者の免責を反対する意見が提出されませんでした。以上に鑑みますと、破産者の経済的な再出発のために、破産法第252条2項の裁量免責を認めるのが相当であると判断し、裁判所に意見を提出しました。

本事例の結末
裁判所が、破産者の免責を許可する決定を出しました。

本事例に学ぶこと
ギャンブルや嗜好品の購入というような理由ではなく、事業目的で負債が形成された場合であっても、負債の金額と返済状況に鑑み、浪費による免責不許可事由が認められることがあります。本件はそのようなケースに該当しました。

弁護士 村本 拓哉