紛争の内容
依頼者は長年にわたり、生活苦を理由に借り入れを行って生活を回し、借り入れをして借入金を返す、という生活を長きにわたって行っていました。健康上の理由から収入が途絶え、換金行為をして借入金の返済をしましたが、どうにもならずに弁護士に破産手続開始申立ての依頼するに至りました。
交渉・調停・訴訟等の経過
換金行為をしてしまったという過去を悔やんでも前に進めないため、正直に裁判所に報告した上でどうにか免責許可を得られるよう努力することとしました。
依頼者本人もきちんと把握できていない部分があったため、整理の上で裁判所や破産管財人の理解がスムーズに行くよう、表や資料を付属して報告書を付けて申立てを行いました。
さらに、破産管財人面談において、換金行為を行ってしまった経緯を丁寧に説明し、換金行為の内容を改めて詳細に説明し、何も隠すことなく申し訳ないことをしてしまったという思いを依頼者に自分の言葉で話していだきました。
本事例の結末
破産管財人の免責についての意見は、免責不許可事由があるものの、裁判所による歳労免責が相当であるとのものでした。その内容として、まさに嘘偽りなく詳細に換金行為を告白し説明し反省している態度を示したことが根拠として挙げていただきました。
裁判所からも、裁量免責が相当として、免責許可決定を出していただくことができました。
本事例に学ぶこと
免責不許可事由にあたることを行ってしまったという過去を悔やんでも前に進めません。正直に裁判所に報告した上でどうにか免責許可を得られるよう努力することで、本件のように免責許可を得られることもあります。
破産・免責は、「債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的」(破産法1条)とするべく定められた制度です。過ちを犯してしまった破産者であっても、経済生活の再生のチャンスを与えるものです。
どうか諦めず、ただ反省するべきことは反省し、隠し事をすることなくご相談いただければと思います。
弁護士 平栗 丈嗣