紛争の内容
裁判所から個人事業主の破産事件についての破産管財人業務の打診を受けました。
破産者は美容師として働いており、勤務先とは業務委託契約を締結していました。
交渉・調停・訴訟等の経過
申立書だけでは分からない子細な情報を得るべく、勤務先との契約書、毎年の確定申告書(損益計算書・貸借対照表)を提出してもらい、また、破産管財人面談において働きぶりを詳細に聞き取り、詳細に調査を行いました。すると、実態としては特定の会社(店舗)に雇われている美容師とほぼ変わらないのではないかと疑われました。
そこで、労働事件で問題となる労働者性の事件と仮定して法的問題に引き直して詳細に検討し、債権者集会において裁判所に詳細に説明し、個人事業主ではなく普通の給与所得者として考え、破産管財業務を行った旨報告しました。
本事例の結末
裁判所は、私の主張を認め、一般の個人破産としての処理を認めました。
なお、その観点で考えたときに目立った財産もなく、配当にはならずに終結しました。
本事例に学ぶこと
破産事件といっても、本件の労働事件のように、弁護士が他の分野で培った知見が大きく役立つ場合があります。また、そのような知見に基づいて大局的に見ないと処理を見誤ることに繋がります。
本件は、法分野を横断的に考えることで、適切な解決に導くことができた事例となりました。
弁護士 平栗 丈嗣