ご依頼の内容

本件は、ご夫婦両名から、自己破産手続きの依頼を受けた事例です。
このご夫婦は、結婚してすぐ、夫が入院しなければならないほどの病気になり、数か月入院しました。
その際の入院費や、仕事ができない間の生活費を賄うために、消費者金融から借り入れを行いました。

その後、数度の引っ越しを経て、埼玉県に住むことになりましたが、今度は、夫婦ともに大病を患ってしまい、やはり入院費や生活費のために借り入れをしました。
結果、夫婦ともに多額の負債を抱えることになってしまいました。

本事例の結末

本件では、妻の方が、病院に対して医療費を滞納していました。
したがって、この病院も債権者として、弁護士から受任通知を発送しなければなりません。
もっとも、妻は、手術後の経過観察のために、今後もこの病院に通院しなければなりませんでした。
そのため、受任通知が送られることで、通院ができなくなるのではないかと心配されていました。

この点について、医療機関においては、破産手続きの債権者となったとしても、債務者である患者の受診を拒絶することはありません。
本件でも、弁護士から受任通知を送ったあとも、妻は病院への通院を続けることができました。

本件は、同時廃止事件として手続きが進められ、免責も許可されました。

なお、妻は、一部の債権者から給与の差押えをされていました。
そのため、差押裁判所に対して、同時廃止決定の後に強制執行停止の上申書を、免責許可決定確定後に強制執行取消の上申書を提出しました。

本事例に学ぶこと

本件では、通院に影響を及ぼすことなく、自己破産手続きを進めることができました。
また、妻は依頼前から給与の差押えをされていましたが、今回、自己破産手続きを経たことで、今後は給与の全額を受け取ることができるようになりました。

弁護士 赤木誠治