事案の概要

ご依頼者様は、2~3年ほど前にキャバクラにはまってしまい、貯金や月々の給料だけでは足らず、持っていたクレジットカードを限度額いっぱいまで使ってしまいました。さらに、銀行・消費者金融からの借入もしてキャバクラに通ってしまいました。そのため、月々の返済額は給料ではとても賄えないほどになってしまいました。
ご依頼者様は、返済資金が足りなかったため、返済のためにさらに借入を重ねました。また、クレジットカードで新幹線の回数券を購入し、すぐに金券ショップに売るという、いわゆるクレジットカードの現金化も行いました。
収入や余剰資金が増えたわけではないので、支払いはすぐに立ち行かなくなり、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

交渉・調停・訴訟などの経過

遊ぶための借入、借入を返済するための借入を重ねた結果、負債総額は500~600万円程度にまで膨らんでいました。
ご依頼者様の借金の原因は、上記の通りキャバクラ通いという「浪費」によるものですので、免責不許可事由に当たります。また、クレジットカードの現金化も免責不許可事由に当たります。
したがって、本来は、免責不許可となる可能性を避けて、破産ではなく個人再生の方針を検討する事案でした。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症流行の影響で、ご依頼者様は仕事を失ってしまいました。運良く再就職できたものの、月々の手取り収入がかなり減ってしまいました。
そのため、個人再生ではなく、破産をして免責を目指すという方針になりました。
本件は、上記の通り免責不許可事由がありましたので、免責調査型の管財事件として、管財人の厳しいチェックを受けることになりましたが、弁護士のサポートのもと、ご依頼者様は多くの資料提出や追加説明を迅速に行い、家計改善や家計管理に真摯に取り組まれました。

本事例の結末

ご依頼者様の真摯な反省と経済的再出発にむけた準備が認められ、本件は無事に免責許可を得ることができました。

本事例に学ぶこと

本件は、免責不許可事由が複数あり、負債総額も大きかったことから、免責許可を得るのは多少難しい事案でした。
しかしながら、ご依頼者様の頑張りもあって、最終的には裁量免責を得ることができました。
このように、免責不許可事由があるからといって、必ずしも免責されないということではありません。
過去を変えることはできませんが、家計管理や金銭感覚の改善、真摯な反省を通して、裁判所に経済的再出発の必要性と可能性を理解してもらうことができれば、裁判所の裁量による免責を得る可能性が高まります。
まずは弁護士までご相談頂き、どのような方針が最適なのか、ご検討頂ければと思います。

弁護士 木村 綾菜