紛争の内容

破産者の方は、約5年間の間、知人にお金を貸し続けたが、満足な返済を得られていなかったという方でした。また、この内、約2年半の間は、自身もお金がないので借金をしていたとのことでしたので、負債の原因は無計画にお金を貸した浪費であるように思えるケースでした。そのため、破産管財人として、破産者の負債を免除(免責といいます。)して良いのか否かを調査することになりました。
また、お金を貸した相手に対して、貸金の返還を請求すべきように思えるケースでしたので、貸金返還請求をすることが出来ないかについても調査をすることになりました。

交渉・調停・訴訟などの経過

家計簿を提出してもらい、浪費をしていないかをチェックしました。破産者の方は単身で居住をしている方でしたが、高い支出をしているのでなく、毎月貯金をしているようでした。家計簿は3か月分を提出してもらいましたが、どの月においても貯金はできているようでしたので、再び浪費をして借金をする心配は少ないと判断できました。
他方、貸金の返還請求については、お金を貸した相手の携帯電話はつながらず、住所も判明しませんでしたので、回収は不可能と判断しました。

本事例の結末

過去に浪費をしていましたが、生活が改善されたことを理由に、破産管財人として、免責を許可するのが適当であるという意見を出しました。その意見も踏まえて、裁判所は免責の許可決定を出しました。

本事例に学ぶこと

過去に浪費を行った人の家計をチェックして、再び浪費を行う可能性が無いかを検討し、ないと判断できる場合に免責を許可するのが適当であるという意見を出す方法を学びました。

弁護士 村本 拓哉